- 第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を描いた映画「プライベート・ライアン」のスティーヴン・スピルバーグ監督と主演のトム・ハンクス。彼らはその3年後、壮大なスケールで全10話のテレビ・シリーズ『バンド・オブ・ブラザース』を完成させた。総製作費150億円を投じた同作は“映画を超えた”と絶賛されエミー賞とゴールデン・グローブ賞を獲得。その製作陣が再び集まり、総製作費200億円という前作を超えるスケールで太平洋戦線を描いたのが『ザ・パシフィック』だ。最前線で戦った兵士の戦記を基に、徹底的に兵士たちの実体験や戦跡をリサーチし、過酷な戦場を兵士の眼からリアルに再現する。
- 物語は、実在した3人の海兵隊員を主人公に、1942年のガダルカナル島から、グロスター岬、ペリリュー、硫黄島と続き、1945年の沖縄決戦で幕を下ろした日米の戦いと、終戦後の苦難を描いている。
アメリカから遠く離れた名も知らない島々で、過酷な気候と自然環境に体力を奪われ、降伏よりも死を選ぶ日本兵への恐怖に精神を蝕まれ、次第に人間性を失っていく兵士たち。前作『バンド・オブ・ブラザース』では描けなかった、兵士1人1人の内面的な戦いを露わにし、戦争が人間から奪う“目に見えない”ものをつぶさに描写する。
彼らがこの世の地獄で見たものは何だったのか。圧倒的スケールと繊細かつリアルな演出で太平洋戦線を描き切った本作は、第62回エミー賞で作品賞ほか最多8部門受賞の栄誉に輝いた。