1997年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:エドワード・ベネット、脚色:ダグラス・ワトキンソン
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
ヘイスティングス … ヒュー・フレイザー/富山 敬、安原 義人
※ ※ ※
エミリー・アランデル … アン・モリッシュ/鳳 八千?
チャールズ … パトリック・ライカート/中尾 隆聖
テリーザ … ケート・バファリー/高島 雅羅
ジェイコブ … ポール・ハーツバーグ/屋良 有作
ベラ … ジュリア・セント・ジョン/藤田 淑子
ウィルミーナ … ノーマ・ウェスト/喜多 道枝
イザベル・トリップ … ポーリン・ジェームソン/水城 蘭子
ジュリア・トリップ … ミュリエル・パヴロウ/沼波 輝枝
ボブ … "スナッビイ"
あらすじ
ポワロは、ヘイスティングスの友人チャールズが、湖でボートのスピード記録に挑戦するというので、ウィンダミアを訪れる。ところが、チャールズの叔母でリトルグリーン荘の女主人エミリーが殺されるという事件が起こる。エミリーの遺産に絡んだ事件とにらんだポワロは、犯人を特定するために証拠を集め始める。ポワロを助けたのは、"もの言えぬ証人"であるエミリーの愛犬ボブであった。
ポワロは、ヘイスティングスの友人チャールズが、湖でボートのスピード記録に挑戦するというので、ウィンダミアを訪れる。ところが、チャールズの叔母でリトルグリーン荘の女主人エミリーが殺されるという事件が起こる。エミリーの遺産に絡んだ事件とにらんだポワロは、犯人を特定するために証拠を集め始める。ポワロを助けたのは、"もの言えぬ証人"であるエミリーの愛犬ボブであった。
美しく、不気味にして、健気な物語
湖水地方の美しい景観を背景に、超自然のムードに彩られた不可解な殺人のサスペンス、そして忠犬ボブの愛らしさが印象的な一編。緑の気体を発して息絶えていくエミリー・アランデルの死に様を頂点とする不気味さと、ボール遊びのメッセージを何度も繰り返して真相を訴えかけているようなボブの健気さが、何とも対照的です。
なお、ボブのモデルは、クリスティが娘の為に飼ったワイアーヘアーテリアの愛犬ピーターと云われ、原作も献辞にてピーターに捧げられています。
ポワロ、湖畔を巡る
舞台となっているのはイングランド北西部カンブリア州、美しい景観で名高い湖水地方国立公園にあるイギリス最大の湖、ウィンダミア湖の湖畔。ムッシュ・ボブを伴い、各所を巡るポワロとヘイスティングスの背景にも美観が映えています。
野でのひと休みに、『猟人荘の怪事件』でも携えていたステッキ・チェアをポワロが使いこなす様子も、お見逃しなく。
もの言えぬキャスト
調子のいい冒険家にしてヘイスティングスのやや不遜な友人、チャールズに扮しているパトリック・ライカートは、シリーズ最終話直前の『ヘラクレスの難業』にも別役で出演しています。
もの言えぬ証人としてポワロに重要な閃きをもたらす大いなる役回りのボブ。本話の原語版のエンド・ロールでは、ボブのキャストとして"SNUBBY"の名がクレジットされています。
シリーズ最後の出演
ここまでヘイスティングスの日本語の声を担当された富山 敬氏は、逝去の為、真に残念ながら本シリーズでは本話が最後の出演作となりました。
1960年代から数々の役を演じ活躍されて来た大御所であり、『侍ジャイアンツ』の番場 蛮や『宇宙戦艦ヤマト』の古代 進ほかアニメーションでの熱血漢の役柄も印象的ですが、ヘイスティングスや米TVドラマ『アメリカン・ヒーロー』のラルフ・ヒンクリーの様な、誠実で人懐こいキャラクターの好演には忘れ難いものがあります。あらためてご冥福をお祈り申し上げます。