1991年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:アンドリュー・グリーブ、脚色:アンソニー・ホロウィッツ、クライブ・エクストン
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
※ ※ ※
レイシー大佐 … フレデリック・トレヴェス/福田 豊土
レイシー夫人 … ステファニー・コール/瀬能 礼子
ジェスモンド … デビッド・ハウィー/麦人
ファルーク王子 … タリク・アリバイ/竹村 拓
セアラ・レイシー … ヘレナ・ミシェル/藩 恵子
デイビッド・ウェルウィン … ジョン・ヴァーノン/堀内 賢雄
デズモンド・リー=ワートリー … ナイジェル・ル・ヴァイラン/羽佐間 道夫
ペヴァリル … ジョン・ダンバー/峰 恵研
あらすじ
クリスマスをのんびり過ごす予定だったポワロが、謎の男たちに連れ出された先は外務省。そこでポワロは、エジプトの王位継承者の王子が由緒正しいルビーをある女性に騙し取られたこと、その影にスエズ運河の返還を求めるエジプト人とそのシンパの影がちらついていることを知らされる。イギリスの国益に関わると説き伏せられたポワロは、ルビーの捜査依頼を引き受け、手掛かりを求めてエジプト学者レイシー大佐の家に向かう。
クリスマスをのんびり過ごす予定だったポワロが、謎の男たちに連れ出された先は外務省。そこでポワロは、エジプトの王位継承者の王子が由緒正しいルビーをある女性に騙し取られたこと、その影にスエズ運河の返還を求めるエジプト人とそのシンパの影がちらついていることを知らされる。イギリスの国益に関わると説き伏せられたポワロは、ルビーの捜査依頼を引き受け、手掛かりを求めてエジプト学者レイシー大佐の家に向かう。
クリスマスのポワロ
ポワロがクリスマスに遭遇する冒険を綴った短編作品。チョコレートにラジオと読書で独り愉悦のクリスマスとなるはずが、わがまま王子の後始末の為、大家族と共にプラム・プディングとスリリングな事件を味わうことになるポワロの活躍が描かれます。
また、長編作品のクリスマス・エピソードとして、その題もずばり『ポワロのクリスマス』が、少し後のラインナップに控えています。ちなみに本話ではセントラル・ヒーティングが、ポワロを事件へと駆り出すモチベーションのひとつとなっていますが、後の長編作品でも同じく暖房器具がクリスマスを迎える寒がりポワロを事件へと誘うきっかけになっています。
クリスティのレシピ
本話の原作の題名は『クリスマス・プディングの冒険』。プディングという名称は、日本では専ら"プリン"として知られていますが、本話でも視認できますように、日本のプリン菓子とはかなり違います。もともとプディングはイギリスの蒸し料理全体を指す名称で、その一種である菓子のカスタード・プディングが日本のプリンに相当するものの様です。
イギリスでは、クリスマスを祝うデサートとして各家庭で作られる際、プラムが使われることが多く、クリスマス・プディングはプラム・プディングという名でも親しまれているそうです。劇中で見られる様に、家族で代わる代わるかき混ぜ、蒸し上げる前に小物を混ぜ込み、切り分けられた時、それを引き当てた者に幸運が訪れる、と云うのが伝統的なならわしだとか。本話は文字通り、そのプディングの慣習に盗まれたルビー事件をうまく混ぜ合わせた物語と云う訳です。
イギリスの有名な物語
食後のイヴェントにレイシー家の一同が愉しんだジェスチャー・ゲームで、ポワロが見事に言い当てた"オリヴァー・ツイスト"とは、ご存知の方も多いでしょうが、少年オリヴァー・ツイストの成長を描いた、チャールズ・ディケンズ作の有名な英の長編小説。初版発行は1838年で、映像化も度々為されています。
家の主人、レイシー大佐役のフレデリック・トレヴェスの声を吹き替えた福田 豊土氏は、役柄の趣はかなり違いますが、一世を風靡したシェレミー・ブレット版『シャーロック・ホームズの冒険』にて、ワトスン役をデビッド・バークから引き継いだエドワード・ハードウィックの声を担当された、ミステリドラマ・ファンおなじみの声の持ち主でした。