1990年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:アンドリュー・グリーブ、脚色:クライブ・エクストン
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
ヘイスティングス大尉 … ヒュー・フレイザー/富山 敬、安原 義人
ジャップ主任警部 … フィリップ・ジャクソン/坂口 芳貞
ミス・レモン … ポーリン・モラン/翠 準子
※ ※ ※
ダニエルズ夫人 … リサ・ハロウ/中西 妙子
ダニエルズ中佐 … デビッド・ホロヴィッチ/外山 高士
サー・バーナード・ドッジ … ロナルド・ハインズ/内田 稔
ノーマン少佐 … ティモシー・ブロック/大木 民夫
イーガン … ジャック・エリオット/中村 秀利
あらすじ
首相が国際連盟の会議に向かう途中で狙撃されながらも開催地フランスに向かった、と新聞が報じていた。それをイタズラとしか思えないポワロだったが、政府高官から首相がフランスで誘拐されたと聞かされ、調査を依頼される。与えられた時間は、会議開始までの32時間。調査が進む中でポワロは、事件はフランスではなくイギリス国内で起こっており、首相に同行したダニエルズ中佐の前妻が事件の鍵を握ると考え始める。
首相が国際連盟の会議に向かう途中で狙撃されながらも開催地フランスに向かった、と新聞が報じていた。それをイタズラとしか思えないポワロだったが、政府高官から首相がフランスで誘拐されたと聞かされ、調査を依頼される。与えられた時間は、会議開始までの32時間。調査が進む中でポワロは、事件はフランスではなくイギリス国内で起こっており、首相に同行したダニエルズ中佐の前妻が事件の鍵を握ると考え始める。
答は海の向こうに在らず
ドイツの不穏な動きを前に英首相が誘拐されるという、国家を揺るがしかねない大事件に、ポワロが毅然として挑みます。やがて少しずつ暴かれ始めた事件の裏には、上辺とは異なる国際的陰謀の影が・・・。
首相はフランスに於いて拉致されたと聞かされても、渡仏することなく黙々と国内で調査を続けるポワロ。その手際はなかなかに興味深いもので、我々視聴者にもすぐ、その意味が何となく見えて来ます。
しかしそんな調査の対象の不審さにも関わらず、ポワロの取り巻きが一向に彼の意図に気付かない展開はいささか不自然。サー・バーナード・ドッジはともかく、病院の件などかなりの線までポワロの思惑に気付いているジャップなのに、"ポワロが何をしているかは分かる"が"何のためかは分からない"というのは、やや無理がある気もします。
ポワロ、やりこめられる
今回のサイド・ストーリーは、服をあつらえるポワロと仕立屋フィングラーのやりとり。ボワロを満足させるだけの芸術的ともいうべき仕立ての腕を持つ強味のせいか、彼に対し、言いたいことを言うが言わせないフィングラー氏。そんな調子でやり込められるポワロは、これまであまり見られなかったものです。
それにしても、皮肉られて微笑んだり、「ずけずけ言うのはほどほどに」などと返すあたり、偉大なるポワロも、決して自らを全く言葉通りの偉大さと信じ込んでいるわけではなく、多分に見栄張りであっただろうことが窺えます。最後にはとうとう、フィングラーに懇願するポワロですが、そこにまた彼のチャーミングさも感じ取れます。
マープルに、ポワロに
無造作に卵にスプーンを入れる様を、ポワロに疎ましがられるダニエルズ中佐。演じるデビッド・ホロヴィッチは、ポワロに次ぐクリスティの人気キャラクター、ミス・マープルのドラマシリーズとしてファンに人気の高いジョーン・ヒクソン主演版『ミス・マープル』にスラック警部として複数回出演している、クリスティのドラマ・ファンにおなじみの俳優です。