1990年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:リチャード・スペンス、脚色:ラッセル・マレイ
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
ヘイスティングス大尉 … ヒュー・フレイザー/富山 敬、安原 義人
ジャップ主任警部 … フィリップ・ジャクソン/坂口 芳貞
ミス・レモン … ポーリン・モラン/翠 準子
※ ※ ※
ステラ・ロビンソン … サマンサ・ボンド/頓宮 恭子
ジェームス・ロビンソン … ジョン・ミッチー/江原 正士
ポール氏 … ピーター・ハウエル/矢田 稔
カーラ・ロメロ … ジェニファー・ランドー/戸田 恵子
テディ・パーカー … イアン・プライス/秋元 羊介
FBI捜査官バート … ウィリアム・フットキンス/滝口 順平
バーニー・コール … ニック・マロニー/郷里 大輔
あらすじ
あるパーティーでポワロは、ロビンソンという若い夫婦から聞いた、彼らの部屋の話に興味を持つ。何か情報を得ようとジャップ警部を訪ねるとスパイ事件の捜査でFBI捜査官のバートがロンドンへ来ると教えられる。米海軍から盗まれた潜水艦の設計図が、ロンドンでムッソリーニの部下に渡されると考えられていたのだ。バートを軽視する一方で、ポワロはロビンソン夫妻の話と目撃した事柄からある仮説を立て始めていた。
あるパーティーでポワロは、ロビンソンという若い夫婦から聞いた、彼らの部屋の話に興味を持つ。何か情報を得ようとジャップ警部を訪ねるとスパイ事件の捜査でFBI捜査官のバートがロンドンへ来ると教えられる。米海軍から盗まれた潜水艦の設計図が、ロンドンでムッソリーニの部下に渡されると考えられていたのだ。バートを軽視する一方で、ポワロはロビンソン夫妻の話と目撃した事柄からある仮説を立て始めていた。
灰色の脳細胞 vs. 銃
本話は、なぜか破格でマンションの部屋を借りられた若い夫妻の不可解な体験から、クリスティの世界の一ヴァージョンである国際的陰謀へと発展する事件に、少しギャングの要素も加えた物語。推理より暴力、論理の力より銃の威力が物云う世界を嫌うポワロ。解決編のラストでは、銃撃で片を付けようとする輩の仕方に、ポワロが機知で抗います。 それから前話に引き続き、あるいはヘイスティングスに代わりと云うべきか、本話で単独行を見せるのはミス・レモン。これまでの回でも、調査に長けている様子を何度か窺わせた彼女でしたが、今回は記者に身をやつし、ワン・ポイントながらも、したたかな度胸と機転を活かした有能なる手腕を見せ付けます。
Gメン('35)
冒頭で、ジャップとヘイスティングスが観ている ― ポワロはあまり観ていない ― 映画は、一行の鑑賞直後のシーンでチラリとポスターも映っていますが、1930年代ギャング映画の大スター、ジェームズ・キャグニーが取り締まる側の役で主演する『Gメン』(1935)と云う作品。ちなみにGメンとは、FBI捜査官ほかいわゆる連邦捜査官の通称"GOVERNMENT MEN"を略した呼び名です。
ボンドの映画
物語の無辜なる主役、若きロビンソン夫妻の妻ステラに扮したサマンサ・ボンドは、ピアース・ブロスナン主演の007作品におけるミス・マネーペニー役でおなじみのほか、近作では英ドラマ『ダウントン・アビー』にて、物語の主軸となるクローリー家の、当主ロバートの妹ロザムンド役で活躍しています。
傲慢なFBI捜査官バートに扮したウィリアム・フットキンスは、クリスティ原作の英ドラマでは、トミーとタペンスの物語として知られる『二人で探偵を』にゲスト出演。それから『スター・ウォーズ』(1977)、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)、『バットマン』(1989)などの映画作品にも多数出演、英米で活躍の俳優です。
その声を吹き替え、押しの強さをユニークに演じたのは、『クラブのキング』でも好演の滝口 順平氏です。