1993年/アメリカ/監督:アンドリュー・スティーヴンス/出演:シャノン・トゥイード アンドリュー・スティーヴンス
しばらく前に、アメリカの成人雑誌プレイボーイがヌードの掲載をやめるというのがニュースになりました。ティーンエージャーが親に隠れてドキドキしながらプレイボーイを読む時代は、もはや過去のもの。イマドキの彼らは皆インターネットで嫌というほどヌードを見るから、雑誌は不要なのだそうです。昔プレイボーイを賑わせていた、マリリン・モンローのような巨乳、デカ尻、金髪のプレイメイトたち。世界中の男性の憧れの的だった彼女たちは、忘れ去られていってしまうのでしょうか。
美しい人妻パティはエリートサラリーマンの夫と幸せな日々を送っていたが、ある時出世争いに敗れた夫が自殺、不幸のどん底に突き落とされる。彼の死が同僚でライバルのアレックス・ウェストンのせいだと知ったパティは復讐を決意し、アマンダという偽名でウェストン家に住み込み家庭教師として入り込む。
ウェストン家はアレックスとマリーナ夫婦、そして高校生の息子ロービーとお節介な家政婦という、絵に描いたような裕福な家庭で、幸せな日々を過ごしていた。そんな家族の崩壊を企むパティ改めアマンダは、まずはセックスに興味津々のロービーに勉強ではなく女の体を教えていくのだったが……。
パティを演じるのは当時大人気だったプレイメイトのシャノン・トゥイード。女性の皆さんには耳馴染みが無いと思いますがWikipediaを参照すると“一般大衆向けエロティカ映画の分野では最も成功した女優の1人で、エロティックスリラーのジャンルそのものとセットで記憶されている。”との事。なるほどですね。この作品では30代半ばかつもっと年上に見えるのでさすがにかなりの熟女感がありますが、20代半ばの頃はプレイメイト・オブ・ザ・イヤー(何それ)にも選ばれた事があるらしく、まさにプレイメイトの頂点に立った女です。乳もデカイがそれ以上に身長が超デカイ!調べたところ178センチらしいですが、普通の男性では太刀打ちできないサイズ感ですね。ちなみに実際の夫はロックバンドKISSのメンバー!ロックスターと金髪プレイメイト、ベタすぎじゃあないでしょうか。対して復讐される側のアレックスですが、なんと監督が主演俳優も兼ねています。B級エロサスペンスで兼任って!ちょっと恥ずかしい!!この方は監督でも俳優でも大成しませんでしたが、なんとプロデューサーとして成功したらしく、スタローンやセガールのアクション(やっぱりB級)を何本も制作しています。ある意味、一番賢い生き方ですね……。
話の内容については正直これ以上掘り下げる要素は何もありません。最初からおかしな部分も盛りだくさんで、例えば復讐を誓うほど死んだ夫はいい奴じゃないとか、そもそも住み込みの家庭教師ってなんだよとか、自分が母親だったらこんな胸の谷間を見せている女を息子の家庭教師には選ばないでしょとか、息子の童貞いただくのと復讐って全然関係ないじゃんとか、セックス・シーンがなんか不自然な体位ばっかりなんだけどとか、前戯しなすぎとか、ブラはしてるのにノーパンってどういうセンスとか、考えだしたらキリがない。ただ、ひとりの美女がある家庭に入り込み、夫妻や子供など老若男女すべての人とセックスをするというシチュエーションは珍しいというか秀逸というか、面白いと思います。そんな設定が『テオレマ』というイタリア映画にちょっと似ていて、もしかしたら何かしらの意味が含まれているのかと深読みしそうになりますが、たぶん何の意味も無いですね!やっぱりこの作品は女同士で笑いながら観る、パーティームービーとしてオススメです。
詰め寄るアレックスに逆ギレしてパティが言う台詞。これって屈辱的!男だったら一番言われたくない言葉じゃないですか?◯◯の方が上手い、しかもそれが息子という二重苦。一番笑えるのが言われているアレックス役の人が、上にも書いた通り監督だという事。監督だったら、普通は自分の役は絶倫設定にしたくなりますよね。自分の作品でこんな惨めな役を演じるなんて、きっとこの人はドM、もしくは自分よりも作品の出来を考える事ができる素晴らしい監督ですね。だからこそ、プロデューサーとして成功したのかもしれません。
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