2003年作品
製作:マーガレット・ミッチェル、監督:デビッド・ムーア、脚本:デビッド・ピリ
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:蕨南 勝之、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
※ ※ ※
エリノア・カーライル … エリザベス・ダーモット・ウォルシュ/麻生 侑里
ロディ・ウィンター … ルパート・ペンリー=ジョーンズ/寺杣 昌紀
メアリ・ジェラード … ケリー・ライリー/岡 寛恵
ピーター・ロード医師 … ポール・マクガン/田中 秀幸
ホプキンズ看護師 … フィリス・ローガン/弥永 和子
オブライエン看護師 … マリオン・オドワイヤー/宮寺 智子
ウェルマン夫人 … ダイアナ・クイック/中西 妙子
マーズデン … ジャック・ギャロウェイ/坂部 文昭
あらすじ
婚約し幸せの絶頂にあったエリノアに怪しい警告文が届く。不安にかられた彼女は、叔母の主治医ロードに相談。ロードは、友人であるポワロに助言を請う。ドイツ留学から帰国した幼なじみのメアリと再会し、彼女に心奪われた婚約者ロディに婚約を破棄され、傷ついたエリノアは、メアリへの憎しみを募らせていた。そんな中、エリノアの叔母が亡くなる。そしてエリノアが屋敷を整理するのを手伝っていたメアリが亡くなり、エリノアにメアリ殺害容疑がかかる。
婚約し幸せの絶頂にあったエリノアに怪しい警告文が届く。不安にかられた彼女は、叔母の主治医ロードに相談。ロードは、友人であるポワロに助言を請う。ドイツ留学から帰国した幼なじみのメアリと再会し、彼女に心奪われた婚約者ロディに婚約を破棄され、傷ついたエリノアは、メアリへの憎しみを募らせていた。そんな中、エリノアの叔母が亡くなる。そしてエリノアが屋敷を整理するのを手伝っていたメアリが亡くなり、エリノアにメアリ殺害容疑がかかる。
殺意を否定しない主人公
陰謀の内に悲しい運命にさらされたエリノア・カーライルの、内なる悪との葛藤の物語。約束されていた筈の幸福から、一転して破滅の牢獄へ。殺意を否定しない彼女の真意と、その行く末はいかに?冒頭、内なる悪を反芻するエリノアのシーンで始まる通り、女主人公の視点に主題を据えた一編です。
なおタイトルの由来は、序盤でベッドに横たわるウェルマン夫人がエリノアに引用して聞かせた、シェイクスピア作『十二夜』の科白です。
一同を集めない解決編
本話の解決編は、本シリーズ中の例外とも言うべき、かなり変則的なものとなっています。即ち、関係者を一同に集めて一人一人の動機と手段の可能性を綿々と説いていく仕方ではなく、ポワロ自身が一人ずつ関係者間を移動して順に問い詰め、謎を明かしていくといったスタイルです。
また、その過程でポワロは真犯人をある罠にはめますが、その罠を仕掛ける暗示が画面内で非常に些細ながら描写されるのも味な見所。ほんの一瞬かつ僅かな暗示なので、解決編ではどうぞ、ポワロの言動からひと時も目を離さぬようご覧下さい。
ドクターとドクターの夫人
ポワロのよき友人ロード医師に扮するポール・マクガンは、英国の伝統的SFとも言うべき長寿ドラマ『ドクター・フー』で8代目ドクターを演じた才人。また劇場映画のSFでは、『エイリアン3』(1992)で、主人公リプリーが流れ着いた流刑星の囚人の一人、ゴリックを演じています。
コケティッシュなメアリを演じるケリー・ライリーは、ヘレン・ミレン主演の英ドラマ『第一容疑者5』のゲストや劇場映画『プライドと偏見』(2005)の脇役で御存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、目新しいところでは、ロバート・ダウニー・Jr主演『シャーロック・ホームズ』(2009)とその続編でのメアリー・モースタン役が印象深いところでしょう。また『第一容疑者』と同じくリンダ・ラ・プラント原作の英ドラマシリーズ『犯罪捜査官アナ・トラヴィス』では、『第一容疑者』の主人公テニスンの若き日を彷彿とさせる新人刑事アナ役にて主演を務めています。