1989年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:レニー・ライ、脚色:スティーブン・ウェイクラム
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子
出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
※ ※ ※
パメラ・ライアル … フランシス・ロー/高島 雅羅
チャントリー … ジョン・カートライト/千田 光男
バレンタイン・チャントリー … アニー・ランバート/藤田 淑子
ダグラス・ゴールド … ピーター・セテレン/中尾 隆聖
マージョリー・ゴールド … アンジェラ・ダウン/榊原 良子
バーンズ少佐 … ティモシー・ナイトリー/大木 民夫
警部 … アル・フィオレンティーニ/加藤 治
スケルトン … アンソニー・ベンソン/峰 恵研
ホテル支配人 … パトリック・モンクトン/有本 欽隆
あらすじ
ポワロはギリシャのロードス島で休暇を過ごしていた。そこに偶然、訪れた2組夫婦。5人目の夫と訪れたバレンタインは、早くもマージョリーの夫ゴールドが気になる様子。それは砂に書かれた三角形のような危うい関係だった。ポワロが島を去る夜、バレンタインが毒の入ったピンク・ジンを飲んで命を落とし、一方でポワロは、スパイ容疑で出国を阻まれていた。ホテルに戻ったポワロは、事件の裏に隠された真実を解き明かす。
ポワロはギリシャのロードス島で休暇を過ごしていた。そこに偶然、訪れた2組夫婦。5人目の夫と訪れたバレンタインは、早くもマージョリーの夫ゴールドが気になる様子。それは砂に書かれた三角形のような危うい関係だった。ポワロが島を去る夜、バレンタインが毒の入ったピンク・ジンを飲んで命を落とし、一方でポワロは、スパイ容疑で出国を阻まれていた。ホテルに戻ったポワロは、事件の裏に隠された真実を解き明かす。
独り身ポワロ
本話の設定の大きな特徴は三つ。ポワロ以外にレギュラーが登場せず、舞台は遠隔地のリゾート、そして殺害方法が毒殺であることです。
シリーズでは終盤を除いて基本的に、ヘイスティングス、ジャップ、レモンのいずれかが偉大なるポワロの脇を固め、本話のように一人も登場しない回は極めてまれです。それでも今回はポワロが現地で出会ったパメラがアシスタント的な役割を務めていますが、時代の移ろいと共にヘイスティングスたちレギュラーが彼の周りを離れたシリーズ終盤期には、伴侶のいないポワロの孤独な影が強調され、時には手助けなく独り事件に臨む姿も描かれます。
映画向きの原作
情緒豊かな遠隔地を舞台にした物語は多く、これもクリスティ原作の特徴のひとつです。本話は原作通りロードス島が舞台で現地にて撮影され、劇中、島を特徴づける風景が垣間見られます。
本話のような短編もですが、リゾートを舞台にした長編は特に旅情豊か。衣食や乗り物も贅を凝らし、明媚な景観を背景に、多彩な登場人物が繰り広げる刺激的な事件と知的な謎解きはいかにも映画向きで、映画化されヒットした諸作の大半は、リゾート地を舞台にした長編を原作としています。
劇的な殺害方法
戦争中、奉仕活動に参加し薬局で働いた際、薬に関する豊富な専門知識を得たクリスティはこの経験を大いに活かし、自作の小説で実に様々な毒を駆使しました。このドラマシリーズでは本話で初めて巧妙に毒を盛る殺人が描かれ、以降も頻繁に用いられます。
姉妹とドアマン
登場人物に関するささやかなトリビアを二つ。冒頭に登場するドアマンの言により、ミス・レモンに姉妹(きょうだい)がいることが判明。原語では「sister」と言っており、また、後の長編『ヒッコリー・ロードの殺人』にハバード夫人と云うレモンの姉が登場しますが、今回、レモンがイングランド南東部のフォークストンへ訪ねている姉妹が彼女かどうかは不明です。
そして、TVを中心に活躍する俳優ジョージ・リトルが演じているこのドアマンは、実は、前話『4階の部屋』から登場しており、この後の『夢』『二重の罪』でも再登場します。