巨匠マーティン・スコセッシが、初めて連続テレビシリーズをプロデュースした話題の大作『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街2』の第2シーズン。前シーズンの翌年にあたる1921年、ラスベガスよりはるかに早く繁栄していた東海岸の歓楽街アトランティック・シティが舞台。街を牛耳る実在の政治家“ナッキー”・トンプソンを主人公に、シカゴのアル・カポネなど大物ギャングも次々と登場する、空前絶後の“米暗黒史ドラマ”だ。第2シーズンではナッキーの地位が対抗勢力から脅かされ続けるとともに、ナッキーを中心とする、政界をも巻き込んだ勢力図に大きな変化が。全米HBO局で2011年9月~翌年2月に放送。
1921年、禁酒法時代。東海岸の歓楽街アトランティック・シティを牛耳る収入役、“ナッキー”・トンプソンだが、その強大な権力を妬ましく思う面々によって、次々と窮地に立たされていく。アフリカ系の密造酒業者チョーキーは、工場をKKKに襲撃された際にKKKのひとりを射殺してしまうが、チョーキーを陰から操ってきたナッキーは、チョーキーが当局に逮捕されることをあえて受け入れる。一方、ナッキーの息子のような存在ジミーはNYの組織と接触し、ナッキーから独立すべきかどうか心は揺れる。アトラティック・シティはナッキーを支持するか支持しないかで二分していき……?
1920年代のアメリカといえば、映画『シカゴ』や『華麗なるギャツビー』などでみられるとおり、きらびやかさと陰鬱さが同居する時代。第一次世界大戦が終わり、アメリカ経済は空前の大繁栄をとげ、世界経済の中心はロンドンからニューヨークのウォール街に移った。同時に芸術や文化が花開き、ベーブルースによる野球人気やチャップリンの映画、音楽ではジャズ、建築ではアール・デコが時代を華やかに彩った。
そして『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街2』の舞台背景にもなっている禁酒法が施行されたのもこのころ。本来は社会問題を軽減するために施行された法律だが、もぐり酒場が蔓延し、酒の密輸、密造、密売がギャングの資金源となった。ドラマでも、今も名を残すギャングたちが実名で登場し、利権をめぐる抗争を繰り広げる。
一方、1920年代は女性の社会進出が進んだ時代だった。自家用車やラジオに加え、洗濯機、冷蔵庫等の家電製品が普及すると、家事労働から解放された女性の社会進出・政治参加が進む。そして、女性たちはファッションや娯楽など流行にも敏感になっていった。ドラマではそうした社会背景もしっかりと描かれている。