英国テレビ文庫itvコレクション名探偵ポワロ徹底解説 名探偵ポワロ徹底解説TOP 英国テレビ文庫itvコレクション特設サイト エジプト墳墓のなぞ

1992年作品
製作:ブライアン・イーストマン、監督:ピーター・バーバー・フレミング、脚色:クライブ・エクストン
日本語版プロデューサー:里口 千、日本語版演出:山田 悦司、日本語版翻訳:宇津木 道子

エジプト墳墓のなぞ

出演:
エルキュール・ポワロ … デビッド・スーシェ/熊倉 一雄
ヘイスティングス大尉 … ヒュー・フレイザー/富山 敬、安原 義人
ミス・レモン … ポーリン・モラン/翠 準子
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エイムズ医師 … ロルフ・サクソン/堀 勝之祐
ヘンリー・シュナイダー … オリヴィエ・ピエール/福田 信昭
フォスウェル博士 … ジョン・ストリックランド/矢田 稔
フェリックス・ブライブナー … ビル・ベイリー/藤本 譲
ルパート・ブライブナー … ポール・バーチャード/千田 光男
ナイジェル・ハーパー … サイモン・カウェル=パーカー/大滝 進矢
ガイ・ウィラード卿 … グラント・サッチャー/江原 正士
レディー・ウィラード … アンナ・クロッパー/瀬能 礼子
ハッサン … モザファー・シャフェイー/大友 龍三郎
ジョン・ウィラード卿 … ピーター・リーヴス/依田 英助

あらすじ
王家の谷で考古学者のジョン・ウィラード卿がメンハーラ王の墓を発見したが、扉の封印を壊して墓の中に進んだ直後に急死してしまう。ウィラード夫人は発掘の資金を提供したアメリカ人のブライブナーに不信感を抱いていた。やがて、ブライブナーの甥ルパートも自殺してしまう。夫人は、王の墓を暴く者には呪いがあるという迷信から墓の呪いではないかと心配し、ポワロに相談する。ポワロは、真相を求めてエジプトに向かう。

クリスティ作品のヴァリエーション
見応えある3長編を経て、本話より再び短編ドラマ期に戻ります。本話をふくめてあと8編を消化しますと、残る29編全てが長編ドラマ作品となりますので、これより8話分、短編の簡潔で尖鋭な味わいをどうぞ堪能し尽くされますよう。
本話は、遺跡発掘をモチーフとした物語ですが、これもまたクリスティ作品のヴァリエーションのひとつ。超自然の力によるものなのかと思える連続死の謎に、臆すことなく挑むポワロの頼もしさも魅力です。なお、遺跡や発掘にまつわる物語は、本話以降のラインナップでも『メソポタミア殺人事件』『死との約束』など数話が控えています。

考古学者の夫
遺跡や発掘をモチーフにした作風に影響を及ぼしたのは、クリスティ自身の志向の他に、二番目の夫となったマックス・マローワンの存在があるでしょう。クリスティより15歳ほど年下のマローワンは、考古学者として著名な人物です。クリスティは何度となく夫の発掘調査に同行しており、イラクにおいてはマローワン率いる発掘隊のスタッフとして参加したとのこと。
なお、ミステリ文学史上の傑作のひとつとして数えられる有名な『オリエント急行の殺人』は、その発掘調査の現地で書き上げたそうです。

ラクダ上のポワロ
シリーズ初期の頃においては、ヘイスティングスのワイルドなドライビング・テクニックを何かと敬遠していたポワロですが、探偵業の必要にかられてか、その乗客となるシーンも最早すっかりおなじみとなりました。本話でも、ヘイスティングスが嬉々として運転する車で、苦虫を噛み潰したような面持ちのポワロが現場へと運ばれて来ます。
しかしながら原作におけるポワロは、現場への道のりでラクダに乗ることを余儀なくされています。同じ苦虫顔でもラクダの背に揺られたポワロの姿はさぞかしチャーミングだったことでしょう。それが画面で見られなかったのは、何とも残念なところです。
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