優れたアニメーション作家にスポットをあて、その素晴らしい作品を最新の技術で修復・発掘することを目的としたWOWOWプラス(旧IMAGICA TV)の「アニメーションの神様、その美しき世界」シリーズ。第一弾として2017年にロシアのユーリー・ノルシュテインを取り上げ、全国で上映し大好評を頂きました。
今回、その第二弾・三弾として、日本のアニメーションの発展に大きく貢献した二人の映像作家・川本喜八郎(1925-2010)と岡本忠成(1932-1990)の特集上映を行います。いずれもノルシュテイン同様、ストップモーション撮影(コマ撮り)による立体アニメーションの分野で比類なき功績を残した世界的巨匠であり名匠です。
川本はストップモーションアニメの先進国チェコでイジー・トルンカに学び、国際的に評価される数々の傑作を残したほかTVの歴史人形劇や海外との合作でも知られています。
一方、岡本は木・皮・布・毛糸・紙・粘土など多様な素材を用いて、主に子ども向け作品の分野で斬新な表現を追求し続けました。川本が能・文楽・日本画の様式を用いて、人の心の闇を幽玄の美の極地から描く作風とするなら、岡本は民話・民芸品・唄・方言などを組み合わせ、ユーモアに溢れつつも心に染み入る温もりを感じさせる作風といえるでしょう。それぞれ日本文化の典型性と民俗性を表現した稀有なアニメーションであり、それゆえに世界に誇れる文化遺産です。
2020年に川本の没後10年、岡本の没後30年を迎え、作家・作品の歴史的価値を再評価・継承するタイミングとしても絶好の機会です。上映するのはそれぞれの代表作5本ずつ合計10本・2プログラムで、全ての作品が日本の最新技術による4Kデジタル修復版となります。ぜひ、映画館であなただけの“アニメの国宝”を発見してください。
1925年1月11日~2010年8月23日
1925年東京・千駄ヶ谷生まれ。旧制横浜高等工業学校(現横浜国立大学)建築学科を卒業。1946年、東宝撮影所美術部勤務。フリーとなって1951年、劇作家の飯沢匡らと共に人形芸術プロダクションを設立し、本格的に人形制作を始める。持永只仁作品の人形作りにも携わりながら、1958年CM制作会社シバ・プロダクションの設立に参加。1963年にはチェコにわたりイジー・トルンカに師事する。1968年、第一作『花折り』を発表。日本の古典芸能に取材した題材で独自の表現を確立し、NHKの人形劇「三国志」など人形美術作家としても幅広く活躍。岡本忠成の遺作『注文の多い料理店』は川本の監修で完成した。国内各賞の他、海外映画祭でも多数受賞。
川本喜八郎は日本の伝統芸能である文楽や能の様式を人形アニメーションに進化させた世界的巨匠である。川本は人形にふさわしい物語を探し、自ら人形を造形し、演じさせた。川本はその制作工程を「人形に仕える」と表現していたという。
川本は祖母の影響を受け小学校時代から人形を作っており、作品が表彰されたこともあったという。東京府立工芸学校、横浜高等工業学校(現横浜国立大学)建築学科を経て、1946年に工芸学校で同級だった村木与四郎(後、黒澤明監督作品の美術監督を歴任)が務める東宝撮影所美術部に入社。五所平之助・衣笠貞之助・成瀬巳喜男らの作品の美術として参加したが東宝争議で解雇。劇作家・飯沢匡に見出され1951年に「人形芸術プロダクション」創設に参加。人形劇・絵本・広告などに携わる。1952年、飯沢の勧めでチェコの巨人イジー・トルンカによる長編『皇帝の鴬』(1948年)『バヤヤ』(1950年)を税関で鑑賞。「人形で詩が語れる」と衝撃を受け、人形アニメーションを志す。同じ頃中国から帰国した人形アニメーションのパイオニア持永只仁の指導を受け、アサヒビールCM「ほろにが君の魔術師」にアニメーターとして参加。これが日本初の人形アニメーション作品となった。持永率いる「人形映画製作所」で短編制作に関わった後、1958年に飯沢と共にCM制作会社「シバ・プロダクション」設立に参加、4年間でミツワ石鹸・SEIKOなど多数の人形CMを制作した。
1963年から1年半チェコスロバキア・プラハに留学。憧れのトルンカに師事した。これに先立って開催された持永主催の歓送会で岡本忠成と知り合った。トルンカ・スタジオでは『天使ガブリエルと鵞鳥夫人』(1964年)の撮影に参加した。トルンカは川本に「人形はセルと異なり、ゆっくりした動きと詩的な表現に適している」「人間の典型的なものを表現できる」「日本の伝統芸能である文楽や能を取り入れるべき」と助言を与えたという。東欧諸国やソ連を回って帰国。
帰国後はNHK「おかあさんといっしょ」のオープニングなどを制作しつつ、留学中にシナリオを書き終えていた『花折り』(1968年)の準備に入った。初の自主制作人形アニメーション『花折り』は、壬生狂言の滑稽話が原作。軽快なドタバタや飛躍のあるカットつなぎは後の川本作品とは大きく異なる。桃山時代の障壁画をイメージした平面的な美術は日本画家の壬生露彦が担当。恩師トルンカに生前唯一見せ、コメントをもらうことが出来た作品である。
続く『今昔物語』の一編を原作とした人形アニメーション『鬼』(1972年)で川本の作風は大きく飛躍する。老醜の果てに鬼となって子を喰らうという救いのない不条理と怪奇。文楽人形を模した兄弟の人形造形、般若の面、頭を上下させず摺り足で移動する能の所作。文楽三味線の名手・鶴澤清治(2007年人間国宝に認定)と山口五郎の尺八による音楽。壬生露彦による漆黒に金蒔絵のスタイリッシュな美術。全てが前代未聞の完成度で、ここに日本の能・文楽の流れを汲むアニメーションが誕生した。
安部公房原作『詩人の生涯』(1974年)は、セピア調のパステル画によるカットアウト(切紙)作品。川本はストライキに明け暮れた青春時代を重ね、「詩人」を「貧しい人々の痛みが分かる時代の証人」と解釈。赤いジャケツが空を舞って青年に被さり、自らを詩人として自覚する一連のイメージは鮮烈である。川本は本作以降、カットアウトで制作していない。その理由を直接訊いたところ「ユーリー・ノルシュテインのような作家が出現しては自分の出る幕はない」と語っていた。そのノルシュテインと川本は互いを尊敬し合う仲であった。
『今昔物語』の「安珍清姫」や能の同名演目を題材とした『道成寺』(1976年)は、川本独自の人形アニメーションのスタイルを確立した記念碑的作品。僧侶を追う若い娘の設定を寡婦に変更、髪を振り乱して走る様をスローモーション撮影によって印象付け、「執着と不条理」のモチーフを進化させた。背景に「斜投影図法」で平面に描かれた大和絵風建物や里山を置き、人形たちはその中を横へと移動する。それは絵巻物を繰り広げて読む感覚に極めて近い。手描きの紙をセットにはめこんだ日高川の激流、炎のオプチカル合成などの新技法も導入。崖や道成寺の階段や鐘楼で上下の縦方向の広がりへと劇的に展開する演出も見事である。
『火宅』(1979年)は、『大和物語』を原典とした能「求塚」を翻案した作品。誰も傷つけたくないと二人の男の求婚を拒んで入水した菟名日処女が500年間も業火に焼かれる。『鬼』『道成寺』に続く不条理三部作の完結編。立体的セットの奥行きと平面画の同居する美術、霧・モヤや重層的な炎の表現、薄暗い光の照明、能役者の観世静夫(銕之丞)の静かな語りと武満徹の重厚な音楽を得て集大成的な作品となった。
なお、不条理三部作は世界各国のアニメーション映画祭で受賞し、日本のアニメーション芸術を世界に知らしめた。その制作時期は「川本+岡本パペットアニメーショウ」の開催期間と重なる。「パペットアニメーショウ」とは「パペットショウ(人形劇)」と「アニメーション」を組み合わせた造語で、川本喜八郎と岡本忠成によるアニメーション作品上映と人形劇上演を組み合わせた公演のタイトル。1972年にスタートし、特別公演を除いて1980年まで6回開催され好評を博した。求道的な川本と奔放な岡本は、作風から外見まで対照的であったが、二人の天才が競って新作を制作・公開することで、互いに刺激を受け合った効果は絶大であった。岡本率いるエコーが制作協力となっている川本作品もあり、スタッフも重なる。川本は後年「岡本さんがいなかったら、パペットショウがなかったらぼくのアニメーションはこんなにできていなかった」と語り、岡本の告別式で「僕の一生を通じて、最も輝かしい時期であり、最も楽しい時期でした」と弔辞を述べている。
川本は、アニメーションの他にもNHKのテレビシリーズ「人形劇 三国志」(1982〜1984年)「人形歴史スペクタクル 平家物語」(1993〜1995年)の人形制作を担当、その一部は「川本喜八郎人形美術館」(長野県飯田市)「渋谷ヒカリエ 川本喜八郎人形ギャラリー」に展示されている。チェコや中国との合作短編、日本と世界各国のアニメーション作家35名を総結集させた『連句アニメーション 「冬の日」』(2003年)の企画・監督、「執心と解脱」をテーマとした念願の長編アニメーション『死者の書』(2005年)を完成させるなど、晩年まで精力的な活動を続けた。
川本は日本人の祖先が文楽を通じて人形に求めたものは「愁嘆」であり、その伝統に連なる情念と悲嘆を追求したいと語っていた。『鬼』『道成寺』『火宅』の三部作は、紛れもなく日本で生まれた人形芸術のひとつの頂点である。
解説執筆:叶 精二(かのう せいじ)
映像研究家。亜細亜大学・女子美術大学・大正大学・東京工学院講師。高畑勲・宮崎駿作品研究所代表。アニメーション作品・作家研究を中心に活動。「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの─」企画アドバイザー、図録執筆担当。著書に『宮崎駿全書』『『アナと雪の女王』の光と影』『日本のアニメーションを築いた人々 新版』、共著に『王と鳥 スタジオジブリの原点』『マンガで探検! アニメーションのひみつ』全3巻など。
1932年1月11日〜1990年2月16日
大阪府豊中市生まれ。大阪大学法学部卒業、一旦就職した後、日本大学芸術学部映画学科に編入学。日本の人形アニメーションの礎を築いた持永只仁のMOMプロダクションに入社。アメリカから受注した作品の制作に携わる。1964年に株式会社エコーを設立。第一作、星新一のショート・ショートが原作の「ふしぎなくすり」から人形アニメーションの世界に新風を送る。その後、木彫、和紙、毛糸、皮、粘土などの素材、フォークソングや童謡などの音楽、義太夫節や岩手弁などの語りを用いた多様な手法と表現で、民話世界や社会風刺など多彩な作品を作り続け、文化庁芸術祭大賞をはじめ国内外で多数受賞。没後、その功績に対して毎日映画コンクール特別賞が贈られた。
岡本の作品は全て短編だが、どれも同一作家とは思えないほどスタイルが異なる。岡本は「同じことは二度しない」との方針の下、スタッフのアイデアや即興性も積極的に採用した。立体・半立体ストップモーションの人形(パペット)素材では木・布・粘土・和紙・杉板・毛糸などを使用。作画では水彩、マーカー、クレヨン、墨など画材も様々。題材もSF・民話・童話・小噺と幅広く、悲劇も喜劇も怪談もある。民謡・フォーク・義太夫・合唱曲など歌曲が挿入され、語りには方言・落語も起用。その多様性は驚嘆すべきであり、比肩し得る者がいない。人間と動物たちの暮らしをつぶさに見つめる演出の視点は一貫しており、晩年になるほど日本人の情緒や土着性が色濃く反映されている。
岡本の経歴も異色だ。大阪大学法学部を経て一度就職したものの、一念発起して日本大学芸術学部映画学科に再入学。卒業制作は同大初の人形アニメーション。1961年から持永只仁率いるMOMプロダクションでアニメーターとして腕を磨き、1964年に株式会社エコーを設立、企画・監督・脚本などを兼務し幾多の短編を制作。1972年からは川本喜八郎と共に「川本+岡本パペットアニメーショウ」を自主開催。同ショウは初公開作品を含む作品上映とパペットショウ(人形劇)を組み合わせた画期的イベントで、1976年まで毎年開催され、1980年の第6回まで続いた。飯沢匡、淀川長治、和田誠、黒柳徹子、岸田今日子ら著名人の協力を得て一般観客の動員にも成功、国内に人形アニメーションを広めた。
今回上映される『チコタン ぼくのおよめさん』(1971年)は岡本初のセルアニメーション。通常セルのキャラクターは、輪郭線で括られ均一の色面で塗り分けられる。岡本はこれを「美術のイメージから縁遠い」と拒絶し、セルの表からポスターカラーなどで厚塗りし、クレヨンでタッチを加える新様式で臨んだ。児童たちの歌う合唱組曲に乗せて各章が軽快に進行するが、ラストで突然転調しその告発が強烈な印象を残す。
『サクラより愛をのせて』(1976年)は、桂朝丸(現ざこば)の創作落語「動物いじめ」に着想を得た連作「人間いじめシリーズ」の3作目。関西弁のトークに乗せて、セルにマーカーで着色された半透明キャラクターが躍動する。
『虹に向って』(1977年)は、大掛かりなセットで展開される人形アニメーション。原作は大川悦生が信州・梓川にかかる「雑炊橋(雑仕橋)」にまつわる伝説を元に記した絵本『ふたりがかけた橋』。作りかけた橋が豪雨で流される、絶望したおりつが川に落ちるなどの劇的展開は原作にはない。及川恒平のフォークソングが流れる機織りや「刎(はね)橋」の具体的工法の検証による創作も加えられ、恋人たちの思いがより深く彫り込まれている。
『おこんじょうるり』(1982年)は岡本の最高傑作として名高い。さねとうあきらの原作絵本には具体的記述のない力強い浄瑠璃歌唱シーンの創作、長岡輝子の東北弁、郷土玩具の泥人形や張子をイメージした土薫る人形造形、描画風セットなど、それまでの集大成的技巧が凝らされている。ラスト近く馬子にばあさまが襲われるシーンの夕景ハレーションは偶然撮影されたそうだが、美しく見事である。原作にはばあさまが狐たちを集めて浄瑠璃を教えていたという後日談があり、その絵コンテも描かれていた。あえてそれを省き、簡潔な終幕としたことで悲しみ深い余韻が生まれている。自身も人形劇を演出した経験を持つ高畑勲は、本作の歌とアニメーションの融合を高く評価し講義でも度々扱っていた。
1990年、岡本は宮沢賢治原作『注文の多い料理店』の制作途上、道半ばにして死去。絵コンテも未完であったが、盟友・川本喜八郎が遺志を継ぎ翌91年に完成させた。銅版画風の繊細な線描によるセルアニメーションで、童話のイメージとは異なる病的不気味さが際立つ。初の長編となる次回作『ほたるもみ』の実験も兼ねていたと伝えられるが、その作品が制作されることはなかった。
かつて映画評論家・佐藤忠男は岡本作品を「超一流に位置づけられる芸術作品」「ユーモアは小津安二郎、悲しみの深さは溝口健二と比較できる」と評した。本プログラムは変幻自在の岡本作品の一部だが、それでも底知れぬ魅力を堪能出来る。
解説執筆:叶 精二
(1968年・14分)
Ⓒ有限会社川本プロダクション
原作:壬生狂言「花折り」より 人形・脚本・演出:川本喜八郎 アニメーション:川本喜八郎、及川功一 声の出演:黒柳徹子 音楽:小森昭宏 美術:壬生露彦、中川涼 撮影:吉岡謙 効果:高橋巌 編集:守随房子
桜が美しく咲きほこる境内に、留守番を申し付けられた小坊主がひとり。外を通りかかった大名・太郎冠者の酒盛りに惹かれてイタズラをするうちに、見事に酔いつぶされて桜の枝を持っていかれてしまう。そこへ住職が帰ってきて…。
(1972年・8分)
Ⓒ有限会社川本プロダクション
原作:「今昔物語」より 人形・製作・演出・アニメーション:川本喜八郎 演奏:(三味線)鶴澤清治、(尺八)山口五郎 音楽:鶴澤清治 美術:壬生露彦、中川涼 撮影:吉岡謙、田村実 録音:伊藤一男 編集:相澤尚子
「今昔物語」の中の「猟師の母鬼になりて子を噉(く)はむと擬するものがたり」に想を得た作品。寝たきりの母の世話をする2人の息子。彼らは鹿わなを仕掛けるために、夜遅くに森へと向かう。森の中で、人ではない何かに襲われた二人は胸騒ぎを覚え母が待つ家へと急ぐ。そこで二人が見たものとは?
(1974年・19分)
Ⓒ有限会社川本プロダクション
原作:「詩人の生涯」 安部公房 製作・演出:川本喜八郎 アニメーション:川本喜八郎、見米豊、石川隆男 音楽:湯浅譲二 美術:小前隆、徳山正美 撮影:田村実 録音:甲藤勇 編集:相澤尚子
工場を解雇された青年は仲間を励ますビラを配る。老母は、内職の糸車に紡がれて糸となりジャケツに編まれてしまう。冬、工場の門前で凍り付いていた青年の雪像に母のジャケツがかぶさった。甦った時、青年は突然自分が詩人である事に気付く。
(1976年・19分)
Ⓒ有限会社川本プロダクション
原作:「安珍清姫」より 人形・脚本・演出:川本喜八郎 アニメーション:川本喜八郎、尾崎良、峰岸裕和、大向とき子 音楽:松村禎三 美術:壬生露彦、中川涼 撮影:田村実 録音:甲藤勇 効果:高橋巌 編集:相澤尚子
熊野参詣の旅を続ける若い僧は、一夜の宿を願い出る。その家の未亡人は僧に一目ぼれするが、信心深い僧はこれを拒み、帰りに迎えにくると嘘をついて出立してしまう。約束した日に戻らない僧に裏切られたと知るや、未亡人は蛇に姿を変え僧の後を追う。そして道成寺の釣り鐘に隠れた僧を恨みの炎で焼き殺し、自らも命を絶つ。
(1979年・19分)
Ⓒ有限会社川本プロダクション
原作:能「求塚」より 人形・脚本・演出:川本喜八郎 アニメーション:川本喜八郎、峰岸裕和、大向とき子、吉田悟、秦泉寺博 語り:観世静夫(八世銕之亟) 音楽:武満徹 美術:小前隆、徳山正美、原口智生 背景原画:壬生露彦 小道具:中川涼 撮影:田村実 録音:甲藤勇 効果:高橋巌 編集:相澤尚子
旅の僧が生田の里にあるという求塚を探して歩いていると、ひとりの里女が塚まで案内してくれ、そのいわれを語り始める。ふたりの男に求愛された莵名日処女(うないおとめ)は、どちらも傷つけるに忍びず、入水して死を選ぶ。それを知った男たちは己を責め、悲しみ、お互いに刺し合って相果てる。話を聞いた僧は、哀れに思い読経をあげるが、処女は死してもなお二人の魂に苛まれ、地獄の炎に焼かれ続ける。
(1971年・11分)
Ⓒ株式会社学習研究社 株式会社エコー
演出:岡本忠成 脚本:岡本忠成、坂間雅子、来道子、田村実 企画・製作:原正次 作曲:南安雄 作詞:蓬萊泰三 歌:西六郷少年少女合唱団 アニメーション:真賀里文子、秦泉寺博、及川功一 撮影:吉岡謙・田村実 美術:小前隆、徳山正美、数藤雅三 編集:園尚子
チコタンが好きな訳をあれこれ考え、子供ながらに気持ちのやり場に悩む“ぼく”。勇気を出してチコタンのためなら嫌いな勉強もするし、いたずらもやめると告白するが、家が魚屋だから、魚の嫌いなチコタンにふられてしまう。そこで、エビとカニとタコの好きなチコタンのために、それだけを売る魚屋にすると言うアイデアで、見事“ぼく”はチコタンからOKをもらうのだが、思いがけない不幸が待ち受けていた。
(1976年・3分)
Ⓒ株式会社エコー
作・演出:岡本忠成 語り:桂朝丸 アニメーションデザイン:吉田悟 作画:東川洋子 撮影:田村実 録音:甲藤勇 編集:相沢尚子
※本作の修復版は国立映画アーカイブ所蔵オリジナルネガより作成いたしました。
満員電車の中でふんぞりかえって足を組んでいる男。汚い靴の裏が他人の服に当たって汚している。そこで登場したのが花束を抱えたグラマーな中年のオバちゃん。電車が曲がり角に差し掛かるとオバちゃんは男の上に倒れかかる。オバちゃんは、男をいじめるいろんな仕掛けを隠し持っていた。
(1977年・18分)
Ⓒ株式会社エコー
原作:大川悦生 演出:岡本忠成 脚本:永倉薫平、東川洋子、岡本忠成 アニメーション:藤森誠代、峰岸裕和、秦泉寺博、大向とき子、横田由美子 美術:小前隆、徳山正美、槇坂千鶴子 人形:保坂純子、阿彦よし子、石井寿美江 撮影:田村実 編集:相沢尚子 録音:甲藤勇 語り:岸田今日子 作曲・歌:及川恒平
源次とおりつは、信濃の国の深い谷に隔てられた2つの小さな村でそれぞれ育ったが、川を挟んで向き合ううちに、いつしか惹かれ合うようになっていた。ある日、川に架かる虹に誘われるように川下におり、二人は初めて会うことができた。あの虹のように村を結ぶ橋を作ろう、そう誓い合い、建設費を工面するため身を粉にして働くのだった。
(1991年・19分)
Ⓒ株式会社 桜映画社 株式会社エコー
原作:宮沢賢治 脚本・演出:岡本忠成 監修:川本喜八郎 演出助手:篠原義浩 音楽:廣瀬量平 美術:川下倫子、小野沢節子、徳山正美 撮影:高橋明彦、中出三記夫 照明:佐藤譲 作画:奥山玲子、阿部信子、吉良敬三、吉田悟、横川たか子・宮林英子、大宅光子、神部環、田代和男、保田克志、香川浩、木村光宏、香川節子、和久井泰宏、秦泉寺博、鈴木伸一 録音:甲藤勇 編集:守随房子 ネガ編集:相沢尚子 企画・製作:エコー社・岡本さと子、桜映画社・福間順子
猟に出たのはいいが、山奥で道に迷ってしまった二人のハンター。霧の中、二人は「山猫軒」という西洋料理店にたどりつく。一息つけると二人は安堵するが、店内に入るや「身なりをきれいにしてください」や「銃と弾をおいてください」などの細かい注文を次々と要求される。
(1982年・26分)
Ⓒ株式会社 桜映画社 株式会社エコー
原作:さねとうあきら 脚本・演出:岡本忠成 アニメーション:藤森誠代、長崎希、吉田悟、渡辺雅子、中島佳子、横川たか子 人形:保坂純子、阿彦よし子、佐野吉紀 背景:若佐ひろみ、三澤博道、渡辺静子 撮影:田村実、伊丹邦彦 録音:甲藤勇 編集:相沢尚子 語り・声:長岡輝子、小野寺かほる、木村富穂、後藤哲夫 唄:曽我マミ 作詞:東川洋子 作曲・演奏:高橋祐次郎、堅田喜三久、中川善雄 作画・仕上:槇坂千鶴子、柳本孝子、黒田直美 制作:桜映画社・村山英世・花崎哲、エコー社・岡本忠成・南波千浪
東北のある村にイタコの婆さまがひとり住んでいた。ある夜、子供もおらず、もう半月もひとりで寝たきりになっている婆さまの家に、腹を減らした狐が山から迷い込んできた。力が衰えてしまった婆さまには狐を追い払う気力もない。それどころか今まで散々狐をいじめてきた罪滅ぼしにと、家中の食べ物を狐に食べさせようとするのだった。狐はその恩返しにと、浄瑠璃を歌い始める。
都道府県 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
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北海道 | シアター キノ | 011-231-9355 | 上映終了 |
山形 | フォーラム山形 | 023-632-3220 | 上映終了 |
宮城 | チネ・ラヴィータ | 022-299-5555 | 上映終了 |
東京 | シアター・イメージフォーラム | 03-5766-0114 | 上映終了 |
東京 | 下高井戸シネマ | 03-3328-1008 | 上映終了 |
神奈川 | 川崎市アートセンター | 044-955-0107 | 上映終了 |
神奈川 | シネコヤ | 0466-33-5393 | 上映終了 |
神奈川 | シネマ・ジャック&ベティ | 045-243-9800 | 上映終了 |
神奈川 | シネマ・アミーゴ | 046-873-5643 | 上映終了 |
埼玉 | 深谷シネマ | 048-551-4592 | 2022年1月5〜15日 |
長野 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | 上映終了 |
長野 | 松本シネマセレクト | 0263-98-4928 | 上映終了 |
長野 | トキワ劇場 | 0265-22-0742 | 12月3〜16日 |
愛知 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | 上映終了 |
石川 | シネモンド | 076-220-5007 | 12月5〜10日 |
福井 | 福井メトロ劇場 | 0776-22-1772 | 12月18日 |
大阪 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 上映終了 |
兵庫 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 上映終了 |
京都 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 上映終了 |
京都 | 出町座 | 075-203-9862 | 上映終了 |
岡山 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | 上映終了 |
広島 | サロンシネマ | 082-962-7772 | 上映終了 |
広島 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | 上映終了 |
愛媛 | シネマルナティック | 089-933-9240 | 上映終了 |
福岡 | KBCシネマ | 092-751-4268 | 上映終了 |
大分 | シネマ5 | 097-536-4512 | 上映終了 |
鹿児島 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 上映終了 |
沖縄 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | 上映終了 |
お二人とも質感にこだわった作家さんだと思うので、4Kバージョンで二人の真価が見られるのを楽しみにしていますし、本当に日本にこういう凄い作家がいたっていうのを、ぜひ再発見をしていただきたいなと思います。
山村浩二(アニメーション作家・絵本作家)
「頭山」「カフカ 田舎医者」
取り扱うテーマの幅広さだけでなく、
物語や演出に合わせて異なる素材や技法が
効果的に使われているのも大変素晴らしいです。
新しく4K画質になったことで、お二人の素材へのこだわりが
想像以上により鮮明なものになりました。
どんなに時代が変化しても変わらない
アニメーションの魅力が感じられますので、
是非多くの方に観て頂きたいです。
見里朝希(監督/ストップモーションアニメーター)
「PUI PUI モルカー」「マイリトルゴート/My Little Goat」
小坊主のクリンとした頭の立体感(花折り)、
老母が解けてゆく糸の質感(詩人の生涯)、
照明による娘の怖しい表情の変容(道成寺)、
おりつの頬の紅味(虹に向って)、
セル表塗りの存在感(チコタン)、
婆さまが泣く暮れゆく山の端の朱と 細い月の対比(おこんじょうるり)...
枚挙しきれぬディテールとそこに宿る「神」の目覚めに立ち会うかのような感覚。
作品の息遣い、作家の想い、作品により近づけるリマスター体験ができて良かった!
伊藤有壱(アニメーションディレクター)