“オタク(ギーク)の星”サイモン・ペグ

立っているだけで可笑しいペグのコメディ魂『殺し屋チャーリーと6人の悪党』

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で世界の「スター・ウォーズ」ファンに羨ましがられたに違いないサイモン・ペグ。隠し要素(イースターエッグ)的に、主人公レイからパーツを買っていたアンカー・プラットの中の人を演じており、メイキングではその喜びぶりを観ることができます。自身が脚本を手掛けたTVコメディ「SPACED ~俺たちルームシェアリング~」で「スター・ウォーズ」オタクを自ら演じた過去を持つサイモンは、ファンも認める熱狂的「スター・ウォーズ」ファンなのです。
そして、もう一つ。彼は熱狂的なファンを持つ、SF映画史的にも重要なシリーズにも関わっています。
それは“トレッキー”と総称する熱狂的ファンを持つ「スター・トレック」シリーズです。リ・イマジネーション、リブートとして2009年以降に作られているシリーズに、エンタープライズ号の機関主任モンゴメリー・“スコッティ”・スコットとして出演。2016年7月22日にアメリカで公開されるシリーズ最新作『スター・トレック Beyond』では、共同脚本家のひとりに名を連ねています。

何より素晴らしいのは、厳しい目と知識を持つオタク(ギーク)たちに認められ、さらに愛されていることでしょう。そんな“オタクの星”サイモン・ペグは、どのような作品に出演し、どのようにファンたちの心を鷲掴んでいったのでしょうか?

Part1. チャンスをつかむ前夜

大学卒業後、スタンダップ・コメディアンとしてキャリアをスタートさせたサイモンが最初に注目を集めたのが「SPACED~」でした。そこで彼のキャリアを語る上で重要な3人組、サイモン・ペグ&エドガー・ライト(監督)&ニック・フロストが誕生します。彼らが2004年に制作したのが『ショーン・オブ・ザ・デッド』。ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』をベースにしたRom Zom Com(ロマンス・ゾンビ・コメディ)。そして、この作品を気に入ったある人物が、サイモンにさらなる飛躍のチャンスをもたらすのです。

Part2. ハリウッドへの進出

J・J・エイブラムス。多くの映画、ドラマでヒット作を手掛けるハリウッドの重要人物が、『ショーン・オブ・デッド』を気に入り、サイモン・ペグにチャンスをもたらします。
J・Jは自身の監督・脚本作『ミッション:インポッシブル3』にサイモンを起用。トム・クルーズとの相性も抜群で、サイモン演じるベンジー・ダンは、シリーズ最新作では、主人公イーサン・ハントの愛すべき相棒として、シリーズに欠かせないキャラクターになっています。
その後も、J・Jが携わる作品に多く出演。「スター・ウォーズ」も「スター・トレック」もその関係の中から生まれ、「オタク(ギーク)の星」と言われるようになったのです。

Part3. 真骨頂はやっぱり仲間と作るコメディ

ハリウッドの大作に出演する一方で、サイモンは、コメディ作品で映画ファンたちの心もとらえていきます。特に人気が高いのが「SPACED~」の3人組が揃った『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』と『ワールズ・エンド 酔っ払いが宇宙を救う!』、そしてサイモン&ニックが脚本も手掛けた『宇宙人ポール』ではないでしょうか。
特に『ホットファズ~』は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』が未公開になったことに危機感を覚えたファンが、署名運動をして公開を実現させ話題となりました。
端々から感じる映画への愛。過去作を吸収し、新たな世界を生み出していくサイモン・ペグ達に多くの映画ファンは、共感し、そして映画の作り手として信頼を寄せているのではないでしょうか。

2015年には、モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズが監督し、パイソンズの面々も声の出演をしている『ミラクル・ニール』に主演。(日本での公開は2016年)英国コメディ界のレジェンドの作品で主演を務めたことで、またひとつ“オタクの星”としての輝きを増したように感じます。

8月にイマジカBSで放送する『殺し屋チャーリーと6人の悪党』は、『ワールズ・エンド ~』の翌年に製作に製作されたアメリカ・オーストラリア合作映画。
サイモン・ペグが演じるのは、「完璧に依頼を実行する」殺し屋チャーリー・ウルフ。カッコつけで完璧な風なのに、ことごとく選択を誤ってひどい目にあうチャーリー。黒づくめで笑う事もほとんどないチャーリーなのに、立っているだけで可笑しく、コメディアン、サイモン・ペグの才能を堪能できる犯罪アクションです。笑わないのに、いつも通り「可愛い」ペグ様です。

『殺し屋チャーリーと6人の悪党』
8月6日(土)深夜01:15~、8月19日(金) 午後14:30~ ほか